香りの記憶
お天気を
無駄にはしたくなくて、
洗濯物の傍ら ベランダで本を読んだ
雨の日の独特のあの匂いが
土や岩や植物から発せられるように、
季節によって変わる
お天気の日の特別な匂い
空っぽの心の中に不意に入り込んだ
何とも懐かしい匂いに思わず顔を上げてしまった
場所も
環境も
何もかも違うのに。
目を瞑ったら 実家のよく日の当たる廊下でお昼寝をしている風景が蘇った
何にもないただのお休みの
やる事をなくしたその時間が
あまりにも恋しくて。
二度と戻らないその瞬間に
寂しさが抑えられなかった
お日様を感じて
思い出に
背中をさすってもらっている感覚がして
涙が止まらなかった