シナモンの香り

〝約束〟をする前に

家に招くと必ず失敗する

信じるその先の意志の弱さを感じて

後悔の波にいつももまれていた。

次こそは。

その自分との約束を守れなかったのは

単純に言えば

『欲』

に負けたからかもしれない。

でも

いつもと気持ちが違うことは確かで、何もない事が何故か確信できたから

誰かに作るご飯がこんなに緊張して

初めての気持ちが続いている

形作る一方で、飾りきれない自分がいる

隣にいる温度を感じながら

お金や身体では得られない

知らない心の動きに戸惑っている。

人生で一番嬉しいスナップえんどう

台所で立ちながら頬張る 焼き立てのシナモンロール。

雨上がりの夕暮れを

確証ない 不安定な関係を引きずりながら

生きてる人とのさよならの寂しさが

いつもより濃く感じられたから。

手を伸ばして 触れられる物理的な距離が

こんなにも遠く感じるなんて

頑張ってみたい。

心を差し出して 近づく

初めての私を、私が応援するんだ