故郷
故郷がなくなった
帰る場所なんてない
ずっと思ってた。
触れないようにしていた大事な場所のこと。
時間が経つにつれて、
自分の故郷だと言えるようになった
ただ
地元の人やモノに触れることがどうしても怖くて
他の何かに極力触れたり
踏み入れたりしないように
無意識にも意識的にも遠ざけていたところもあった
形にこだわっていたのは自分で
美味しいものが沢山ある
知らない人が
同情じゃない気持ちで来てくれてる事にも嬉しかった
磯の香りも
波の音も
空気の柔らかさも
変わらないものもある事に
10年経とうとしている今
やっと気づけた気がする
隣で変わらず笑っている友達を
本当に失いたくないし
ずっと、
ずっと大事にしたいとも思った
昔の記憶を
思い出させてくれるきっかけを
変わらない笑顔で引き出してくれる
あんなおいしい海鮮丼
人生で初めてだった